「この色なら日射反射率は何%か」に答える――水谷ペイント、遮熱塗料の全色でJIS K 5602準拠の実測値を開示する方針

リード
同じ遮熱塗料でも、ライトグレーとダークグリーンでは日射反射率が大きく異なります。それでも施主が最後に選ぶのは「製品」ではなく「色」です。水谷ペイント株式会社は2026年5月に公開した公式コラムで、遮熱塗料の提案の軸を、JIS K 5675の認証から、JIS K 5602に基づく全色の日射反射率データの開示へ移していると説明しました。選んだ色の性能を数字で示すという、情報開示の取り組みを紹介します。

塗料の色見本と日射反射率測定のイメージ

二つのJISは何が違うのか

コラムでは、混同されやすい二つの規格を次のように整理しています。

JIS K 5675は「屋根用高日射反射率塗料」の製品規格です。遮熱性能だけでなく、耐候性・付着性・耐水性・塗膜品質・品質管理体制など、塗料製品としての総合的な性能と品質管理体制を定めており、基準を満たした製品はJISマークを表示できます。

JIS K 5602は「塗膜の日射反射率の求め方」を定めた測定方法の規格です。JIS K 5675の遮熱性能の測定方法として使われるほか、ISOにも対応した試験規格だと同社は説明しています。

つまり、「製品としてどんな性能を満たすか」がJIS K 5675、「遮熱性能をどう測るか」がJIS K 5602という関係です。同社は、役割の異なる規格であり優劣の話ではない、と明記しています。

なぜ「全色の実測値」なのか

同社が重視するのは、施主が選んだその色で、どれだけ遮熱できるのかという一点です。JIS K 5675の遮熱性能の基準は、色の明るさ(明度)に応じて日射反射率が一定以上であることを求める構造になっています。製品全体の品質保証としては有効だが、実際に選んだ色の日射反射率がいくつかはJISマークだけでは分からない、というのが同社の問題意識です。

そこで同社は、標準色の全色について第三者機関によるJIS K 5602準拠の測定を行い、色ごとの日射反射率データを公開しているとしています。推奨する上塗りと下塗りの組み合わせごとに試験成績書を用意し、施工店が施主に数字を根拠に提案できる体制を整えている、とも述べています。

補助金についても触れています。多くの自治体の補助金制度では、要件としてJIS K 5602に準拠した日射反射率の数値や公的機関による試験成績書が求められており、JIS K 5675認証の有無が直接の要件になっていないケースが多い、というのが同社の説明です。要件は自治体ごとに異なるため、各自治体の窓口などでの確認を勧めています。

全ブランド・全色へ

業界紙CoatingMedia NEXTは2026年7月29日、水谷ペイントが日射反射率の実測値による情報開示に注力する方針を固めたと報じました。担当者は理由を「補助金申請等の実務現場では、JIS認定の有無以上に、日射反射率の実測値が重視される傾向がある」と説明したとされています。

同記事によると、同社は7月末をめどに「快適サーモシリーズ」の全ブランド(F、Si、Bio、WF、WSi)と全色で日射反射率を測定・開示する予定としていました。あわせて、「快適サーモSi/F」で取得していたJIS K 5675(2種1級)については取り下げる方針と報じられています。

同社の公式サイトで公開されている快適サーモシリーズのカタログでも、掲載色ごとに日射反射率(全波長域と、780〜2,500nmの近赤外波長域)が示されています。 なお、2026年10月2日時点では、公式サイトの「JIS製品一覧」に快適サーモF・Siが JIS K 5675(2種1級)の認証取得製品として掲載されています。 開示の進み具合や規格の扱いについての最新の状況は、同社にご確認ください。

ECOTの視点

選ぶ色ごとに、第三者機関の測定による数字が示される。施主や設計者にとって、これほど分かりやすい判断材料はありません。製品の情報を色の単位まで細かく開示しようとする姿勢は、遮熱塗料の透明性を高める意義のある取り組みです。

ECOT(一般社団法人 日本エコ塗装認証機構)は、遮熱塗料などの性能・耐久性を客観的な資料に基づいて確認する団体です。グリーン購入法の高日射反射率塗料の判断基準について、初期性能だけでなく、耐久性やライフサイクルコストを含めて評価する必要性を提案してきました。

色ごとの初期の日射反射率が明らかになれば、次に関心が向かうのは、その数字が屋外で何年たっても保たれるかという点です。初期性能の開示と長期性能の評価がつながっていけば、遮熱塗料の選定はさらに確かなものになります。メーカーごとのこうした開示の工夫が、業界全体の情報の質を高めていくことを期待しています。

※本記事は公開情報をもとにした二次情報の紹介です。ECOTが本製品を認証・推奨・評価したものではありません。製品の仕様・性能の詳細はメーカーにご確認ください。

参考文献

  1. 水谷ペイント株式会社「遮熱規格『JIS K 5675』と『JIS K 5602』の本質。実際の遮熱性能は『JIS K 5602』?」(公式コラム、2026年5月26日公開・5月28日更新) https://www.polyma.co.jp/column/c20260528
  2. CoatingMedia NEXT「日射反射率の実測値に注力|水谷ペイント」(2026年7月29日) https://www.coatingmedia.com/online/b/post-1971.html
  3. 水谷ペイント株式会社「屋根用高日射反射率塗料 快適サーモシリーズ」カタログ(PDF) https://www.polyma.co.jp/products/roof/thermo/2605thermo.pdf
  4. 水谷ペイント株式会社「JIS製品一覧」 https://www.polyma.co.jp/products/jis.php
  5. 一般社団法人 日本エコ塗装認証機構(ECOT)公式サイト https://ecot-japan.com

(参考)水谷ペイント株式会社「コラム更新:遮熱規格『JIS K 5675』と『JIS K 5602』の本質。」(2026年6月1日) https://www.polyma.co.jp/news/column/1176.html

(参照日:2026年10月2日)

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